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- [[日本語]]
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* 第Ⅱ部 オフィス環境と生産性
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* [[第7章 設備警察]]
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* [[第8章 プログラムは夜できる]]
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* [[第9章 オフィス投資を節約すると]]
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* [[第10章 頭脳労働時間 対 肉体労働時間]]
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* [[第11章 電話、電話、また電話]]
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* [[第12章 ドアの復権]]
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* [[第13章 オフィス環境進化論]]
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## 第13章 オフィス環境進化論(pp.92-104)
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- 理想的なオフィスが備えるべき条件について、以下のポイントで考えてみる
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>・社員が気持ちよく働くことができ、しかも、生産性を高くするには、オフィスをどのようにすればよいか。
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>・社員がヤル気をだして仕事に打ち込むには、オフィスをどのような形態にするべきか。
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- アレグザンダーの有機的秩序
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- マスタープランによって完成する画一的な建物は、ある一人以外の誰にも役に立たない
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- マスタープランに代えて、建築家のクリストファー・アレグザンダーは「メタプラン」という概念を提案した
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- メタプランは3つの部分で構成され、そのもとで発展する建物や形成される空間は**有機的秩序**を備えている(例:図 13.1)
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>・少しずつ進化するという基本思想
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>・進化を左右する一連のパターンや共通設計原則
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>・関係する部分の設計への住人の参加
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![](https://storage.googleapis.com/zenn-user-upload/a7f1d899de45-20230817.png =480x)
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*[^1] 図 13.1 スイスの街並み。マスタープランなしの有機的秩序の好例*
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- 続き
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- アレグザンダーは『パタン・ランゲージ』で、253 の有機的秩序のパターンを紹介している
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### パターン 183「作業空間の囲い」
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>囲われすぎたり露出しすぎた作業空間は、効果的に働ける場所とはいえない。良い作業空間は、このバランスがうあくとれている。……背後に壁があると、さらに居心地のよい作業空間になる。……前面8フィート(2.4m)以内にめくら壁を設けてはならない。(仕事中時々目を上げ、何か机より遠いものに焦点を合わせ、目を休めたくなる。8フィート以内にめくら壁があると、目の休まることがない。この場合は囲われすぎると感じる)……自分の作業空間の発生音と著しく異なる騒音が聞こえてはならない。(自分の発する音とは異質の騒音を十分さえぎるよう、作業空間を囲まねばならない。周囲の人間が同じことをしている方が、仕事に集中できることが実証されている。……作業空間は、まちまちの方向を向いて座れるようにせねばならない。
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[^2]『パタン・ランゲージ』(A Pattern Language)(平田翰那訳、鹿島出版会、1984年)
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![](https://storage.googleapis.com/zenn-user-upload/a35a79fc8669-20230817.png =480x)
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*[^3] 図 13.2 作業空間の囲い*
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- 著者らは知的労働者の働きやすいオフィスデザインを目的とする4つの新パターンを提案している
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1. 組み立て式オフィス
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2. 窓
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3. 屋内と屋外のスペース
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4. 共有スペース
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### 1.組み立て式オフィス
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- (ネットカフェの個人ブースのような)「組み立て式個室」は単独作業にもチーム作業にも向いていない
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- チーム作業のための共有エリアと準個人エリア、邪魔や騒音から隔離された個人用のスペースが必要である
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- 中央スペース設計組織の支援を受け、チームメンバーがスペース設計の専門家とレイアウトやインテリアをさまざまな角度で検討する
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- 机や備品はさまざまなスペースで使えるものにする
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### 2.窓
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- 幅9メートル以内の細長い建物にして、ホテルのように十分な数の窓を作りこむ(例:図 13.4)
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![](https://storage.googleapis.com/zenn-user-upload/609fe9d0d123-20230817.png =480x)
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*[^4] 図 13.4 Swarthmore 大学の女子寮*
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- 横長ビルのコスト上昇はデータに現れないほどわずかであり、利益面でお釣りが来る
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- コストが建物の大きさや設備など目につくものであるのに対し、利益面は生産性の向上や退職者数の減少といった目に見えにくい要素である
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### 3.屋内と屋外のスペース
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>横長のビルには、屋内スペースと屋外スペースがうまく調和させられるという利点もある。屋外施設のあるオフィスで一度でも仕事をしたことがあれば、一日中部屋の中に閉じこもって仕事をするなどとても考えられないことだろう。
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→ さもなくば私のように社内を目的もなく徘徊し、そのへんで座ってみる社員が現れるはずだ。これは、社内に自然空間のメタファーを見出すほか無いからだ。非常階段の喫煙所でリフレッシュする社員がいるように、誰もが外の空気を吸える空間が確保できるとよいだろう。
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### 4.共有スペース
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- スペースについては、建物の中に入るに従い、徐々にプライベートになるという「プライバシー深度」というパターンが適用できる
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- 作業スペースの入口は、全社員が暖炉のように心暖まる共通空間として設計する
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- ミーティングをするためのテーブル、全員分の椅子、ホワイトボード、掲示板がある
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- 理想を言えば、簡単な食事を作って食べられる設備と広さが欲しい
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- すべてのパターンの共通要素は、**まったく同じものは生まれないという公式への信頼**である
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- やってみよう
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- マスタープラン通りに建てられたオフィスであれば、社屋の外にプロジェクトを移動してみよう
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- 会社全体ではなく、自分のプロジェクトから成功させることを考えてみよう
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→ 理想的なオフィスというのは、上記のパターンを守っているだけでなく、それが個々のチームにとって生産性の向上にどう結びつくのかがメンバーによって想像された上で創造されていることが重要だろう。快適なオフィスのヒントは『パタン・ランゲージ』から拾ってくることもできるだろう。
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[^1]: 本書 p.95
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[^2]: Alexander, Christopher. S, Ishikawa and M. Silverstein with M.Jacobson, I.Fisksdahl-King, and S.Angel. A Pattern Language. New York: Oxford University Press, 1977. 平
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田翰那訳、『パタン・ランゲージ』、鹿島出版会、1984年
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[^3]: 本書 p.96
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[^4]: 本書 p.100 |